僕は8回の転職をへて、現在は医療機関でシステムエンジニアとして働いています。もともと、医療機関ともシステムエンジニアとも無縁の仕事をしていました。
年齢と転職回数が増えるにつれ、あらたな転職は難しくなります。ましてや未経験職種となれば尚更です。
それまでに7回もの転職を経験していた僕が、職業訓練を利用して8回目の転職を成功させた体験談を語ります。
36歳で退職を決意し、転職を試みる
結論から言うと職業訓練校のおかげで再就職が決まるのですが、以下のような流れです。
- 36歳退職を決意、退職する
- 37歳の2月田舎から松山近郊に引っ越し
- 37歳の3月職業訓練校に入校
- 37歳の9月職業訓練校を修了
- 37歳の12月紹介予定派遣で医療機関へ就職
- その3か月後医療機関へ正社員で就職
36歳の時にそれまで働いていた田舎の小さな会社を辞める決意をしました。
などなど、小さなことまで挙げるとキリがないですが、とにかく日々の仕事に嫌気がさしていました。一応正社員という扱いでしたが、特に休みが少ないのと日給制で有休を付けてもらえないのは不満でした。
年収280万円未満、昇給・賞与なし、36歳にして先が見えてしまった僕は悩んでしました。このままで良いのかと。
さらに住んでいた町は子供の少ない田舎町。当時3歳の息子がいた僕は、息子のお友達の絶対数が少ないことを不安要素と捉えていました。同級生が10人いないくらいです。
もっとお友達の多い環境で育てたい。僕と妻の意見は一致してました。仕事も将来性がない、子育て環境いも不安がある。僕は8回目の転職を決意しました。
転職先の業界を考える
転職することは決めましたが、転職先も職種もなにも決まっていない状態です。さらに7回の転職で僕の経歴は見栄えの良いものではありませんでした。8回目の転職は成功するのか?そんな不安がありました。
普通に考えると、30代後半は今までの経験を活かしたキャリアアップ転職でないと難しいです。しかし僕はそれほどの経験やスキルをもっていませんでした。未経験職種へのチャレンジが必要だったのです。
30代後半、未経験者を受け入れてる業界はあるのか?まずはそこから探すことにしました。
プログラマーを目指す
当時プログラミングスクールの充実や、フリーランスでのプログラマーなどインターネットで見る機会が多くなっていまいた。これからの時代のニーズに合ったプログラミングを学習することに。以前、C言語を少しだけかじっていた経験を元に、プログラマーを目指すことにしました。
さっそくプログラミングスクールや、プログラミングを学習できるサイトなどを調査しました。すると職業訓練でプログラミングを修得できるコースがあることに気がつきました。
組み込みプログラミングとは、家電製品や自動車に組み込まれている電子機器を制御するためのもの。
退職して職業訓練校を目指す
職業訓練校は、求職者が失業手当をもらいながら通える学校です。
僕は愛媛県の端っこの田舎町に住んでいました。そこからは職業訓練校に通うのは困難です。通うためには今の仕事を辞めて、職業訓練校のある松山近郊へ引っ越す必要がありました。
仕事を辞めたかった僕は、すぐに妻と相談して承諾してもらい、僕と妻の両親にも説明しました。まず家族に了承を得た僕は、すぐに職場にも退職の意を伝えました。
社長は2人しかいない社員のうち1人が辞めることで、渋っていました。しかし最終的には子供のためなので、という僕の言い分を聞き入れてくれました。感謝です。
職業訓練校に応募する
職業訓練校に通うために退職して引っ越すことになりました。僕の目指していた組み込みプログラミング科は6か月の授業を受け、その間に就職を目指すというものでした。
定員は18人。毎回定員を超える応募のある人気のコースでした。退職までして職業訓練校を目指したのに、受からなくてはシャレになりません。しっかりと対策をして職業訓練校を受け合格することができました。
職業訓練に通う
職業訓練に通うことになりました。期間は6か月。その間に組み込みプログラミングを学習しながら再就職を目指します。
組み込みプログラミングを学習
僕の通った組み込みプログラミング科では6か月の間に、以下を学習します。
- マイクロコンピュータの仕組み
- ソフトウェア開発のためのC言語プログラミング
- C言語による組込みプログラミング
- Java言語プログラミング
- 生産支援Webアプリケーション開発
- 多機能通信端末デバイス制御プログラミング
プログラミング言語としては、Cobol、C言語、Java、を学習。
就職活動も並行しておこなう
学習だけしていても就職はできませんので、並行して就職活動もおこないます。ポリテクセンターでは就職の斡旋はしません。自分でハローワークなどを通して仕事を探す必要があります。
6か月のコース修了を待たなくても、就職が決まれば途中退校してもOKです。僕のクラスでも3人ほど、途中で仕事が決まり途中退校した人がいました。
仕事の斡旋はないのですが、専門知識を習得した人に向けて、ポリテクセンター向けの専用の求人があります。企業が説明会のために、ポリテクセンターに来ることもあります。僕の時は東京と愛知から説明会に来ていました。
組み込みプログラミングは自動車の制御に使われることが多い。自動車メーカーの多い愛知や広島で需要がある。
6か月の訓練期間中に就職が決まらない
職業訓練校に通えば、どこかには就職できると考えていましたが甘かったです。6か月の訓練期間中に就職することはできませんでした。
30代後半未経験者プログラマーに需要はない
現実を痛感させられました。30代後半といっても37歳。自分では若いつもりでも世間の評価は厳しいものでした。20代のクラスメイト達が未経験プログラマーとして就職していく中、30代前半の人でも難しく、30代後半からその上の年齢の人たちは取り残されていました。
職業訓練は職歴にならない
職業訓練は職歴の欄に書くことはできません。また、企業側からみても職業訓練でプログラミングを学習しました、というのはアピールポイントになりません。職業訓練で学習するのは基本中の基本だからです。実践で使えるほどの技術の習得には至らないのです。
県外に出る踏ん切りがつかなかった
当時まだコロナ禍前で、東京と大阪も視野に入れて就職活動をしていました。僕の経歴や年齢では、少ない県内の求人では就職は難しいと考えたからです。実際に大阪まで面接にも行きました。
しかし、いざ県外に就職と考えたときに、不安があり踏ん切りがつかなかったのです。
職業訓練修了後の就職活動
職業訓練修了後も引き続きポリテクセンターで就労支援を受けることができます。期間は訓練修了後6か月間。ポリテクセンターには就職相談室があり、ハローワーク等の求人情報をもとに相談員に相談できます。
職業訓練校に在職中から、県内外合わせて30社以上は応募しましたが、就職にはつながりませんでした。そのうち面接に進めたのは5社ほど。大阪にも行きました。ちなみに旅費交通費は失業手当から出ます。
訓練修了後もポリテクセンターに通って相談を受けていました。3か月ほど経ったある日、訓練の講師の人からひとつの求人情報を教えてもらいました。それは松山のある転職エージェントの求人でした。
医療機関でのシステムエンジニアとしての仕事です。ただし正社員ではなく、紹介予定派遣でした。
紹介予定派遣で医療機関へ転職
紹介予定派遣とは、一定期間派遣で働いた後、正社員への登用の可能性がある雇用形態
紹介予定派遣の期間は3か月。その間、企業と労働者、お互いが職場にマッチしているか判断して正社員として続けていくか決めます。
採用側も3か月様子がみれるので、採用しやすいはずです。こうして僕は紹介予定派遣で8回目の転職を成功させました。しかも未経験職種です。
紹介予定派遣で3か月後、正社員になる
紹介予定派遣で働くこと3か月。お互いに相思相愛となり正社員になることができました。そのきっかけは間違いなく職業訓練校に通ったことでした。当時の講師には感謝しきれません。
都会に引っ越し、前職での年収も上回ることができ、転職は成功と言えるのではないでしょうか。
あとがき
36歳から職業訓練校に通って37歳で転職を成功させた話でした。システムエンジニアという未経験職種での転職はポイントが高いですね。世間では職業訓練は意味がないとか時間の無駄とか言われています。しかし僕にはとても意味のある時間でした。
そして僕より若い20代の人たちは実際に未経験からITの世界に飛び込んでいきました。30代前半の人たちでも十分にチャンスがあります。
自分の進みたい道が職業訓練のコースにあるならば、ぜひ選択肢のひとつとして挑戦してみてください。
おしまい。
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